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「結婚式のメンバー」カーソン・マッカラーズ(あらすじ)主人公を支配する狂気の影

アメリカの作家カーソン・マッカラーズ1946年の作品「結婚式のメンバー」

同じように、思春期の心の揺れ動きを繊細に描いたサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」も有名な小説で、あわせて読むと面白いかもしれませんね。

カーソン・マッカラーズ(McCullers)の中編小説「結婚式のメンバー」 ( The Member of the Wedding )について、あらすじとみどころをご紹介したいと思います。

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カーソン・マッカラーズ「結婚式のメンバー」について

本書は、12歳の多感で孤独な少女の心の揺れ動きを、「兄の結婚」という、彼女にとっては大きな事件を軸に、丁寧に描き出した傑作です。

日本語訳は、長く絶版状態でしたが、2016年に新潮文庫から、村上春樹の翻訳で出版され、再び広く知られるようになりました。

  引用元:@zrdLiqBr1qn0vcl さん

ではさっそく内容を見て行きましょう。

 

「結婚式のメンバー」おもな登場人物

フランキー・アダムス…12歳。学生。

ベレニス…フランキーの家の女中。

ジョン・ヘンリー…フランキーの従弟。6歳。

ジャーヴィス…フランキーの姉。

ジャニス…ジャーヴィスの婚約者。

 

「結婚式のメンバー」あらすじ

〈第一部〉

主人公のフランキー・アダムズは12歳です。

彼女は、学校のクラブなど、どこのメンバーにも属しておらず、話し相手と言えば、6歳の従弟のジョンと、お手伝いの黒人中年女性ベレニスくらいです。

母親はすでに亡くなっており、父親はいつも仕事で忙しく、兄ジャーヴィスはアラスカに行っています。

仲良しだった友達も最近遠くへ引っ越してしまい、さびしくて退屈な毎日を送っています。

 

フランキーは、“今の状況では、ジョンとべレニスが自分の仲間(メンバー)であると言えなくもない”けれども、 “そんなメンバーは願い下げだ”と考えています。

8月のある金曜日、兄のジャーヴィスが、結婚相手のジャニスを連れて、突然、家に帰ってきます。

フランキーは、ジャーヴィスとジャニスこそ自分の仲間にふさわしい、と考え、名をジャスミンに改め、自分も二人の仲間に加わったつもりになります。

 

〈第二部〉

翌土曜日。明日は結婚式です。

ジャスミン(フランキー)は、結婚式の後のハネムーンに同行することを一人勝手に決めて、うきうきしています。

この喜びを吹聴するため、街に出て、通りをうろつき、「ブルームーン」というカフェに入ります。

 

店にいた赤毛の兵隊と知り合いになり、彼と話をするうちに、彼が泊まっているホテルの部屋に誘われます。

乱暴されそうになり、水差しで彼の頭を殴りつけると、部屋を飛び出し難を逃れました。

 

〈第三部〉

結婚式当日。

式が無事終わり、ジャスミンは、ハネムーンに出発する二人に同行すべく、車に乗り込みますが、驚いた周囲の人によって引きずり降ろされ、家に帰らされます。

現実を突きつけられてショックを受けたジャスミンは、父のピストルを盗んで、家を出ます。

 

そうして、再びブルームーンを訪れ、赤毛の兵隊を探します。しかし、ここで警察に捕まり、ジャスミンは家に戻されます。

警察が現れたのは、ピストルと一緒に姿を消した娘を心配して、父親が通報したためです。

 

夏が終わり、彼女は13歳になりました。名前は「フランセス」に変わっています。

フランセスは、父親と一緒に郊外に引っ越すことが決まり、これを機に、ベレニスはお手伝いを辞めることになりました。

ジョン・ヘンリーは、髄膜炎にかかり、昨年亡くなりました。

 

何もかもが昨年とは変わってしまった家の中で、フランセスは、ふとヘンリーの気配を感じることがあります。

そんなとき、部屋は特別な静寂に覆われるのでした。

 

「結婚式のメンバー」見どころ&感想

少し妄想癖があり、思い込んだらどこまでも想像をふくらませてしまう、主人公の少女フランキーが、とても魅力的です。

自由な精神を持つ主人公ですが、現実の社会では疎外感に苦しんでいる、という点がいじらしく、彼女の魅力を高めています。

 

彼女がどれくらい苦しんでいたかは、ハネムーンの車から降ろされ、悲しみがピークに達したときに、自分をひどい目にあわせようとした赤毛の兵隊を再び訪ねて行ってしまうシーンでわかります。

普通、そんなことをした相手とはできるだけ会わないように注意するものですが、彼女はみずから会いに行ってしまいます。

孤独感に苦しんでいた彼女にとって、彼は、彼女を求めた唯一の人であり、まちがっていたとしても、彼女はそこに救いを見出さざるをえなかった———と考えられるのです。

 

フランキーは、「ジャスミン」、「フランセス」と、2回、名前を変えます。

本書を読むとわかるのですが、これは、「変える!」と宣言して変わったわけではなく、小説内でフランキーが、しれっと「ジャスミンです」と他人に名乗ったところから始まり、それ以降、地の文で、やはりしれっと「ジャスミンは、、、」、「フランセスは、、、」という文言が差し挟まれるようになります。

周囲は変わらず「フランキー」と呼びかけるので、「ジャスミン」とか「フランセス」がフランキーのことであると読者にわかるようになっている、という仕掛けです。

 

小説としては、少々不親切な書き方です。

ですが、何の断りもなく名前を変えてしまうことで、読み手は、この小説世界が丸ごとフランキーの精神世界なのだということに気づかされます。

フランキーが支配する、フランキーの世界なので、彼女が見聞きした以外のことは出てきませんし、彼女が正しいと思っていることは、たとえそれが傍から見てどんなに間違っていたとしても、圧倒的真実のように描かれるのです。

 

フランキーが自分のことを「ジャスミン」と思い込んでいる間、主語はジャスミンになりますし、「フランセス」に変えたいなと思った瞬間から彼女は「フランセス」になります。

これは、とてもおもしろい書き方です。

 

個人的には、大島弓子さんの漫画の作風がこれに近いと思っています。

主人公の主観の中だけで物語が展開して行き、どれが客観的な事実でどれが主人公の思い込みなのかいまいち曖昧なままラスト付近まで行ってしまうところなど、よく似ています。

どちらもとてもおすすめです。ご関心に応じてぜひ。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。マッカラーズの『結婚式のメンバー』をご紹介してきました。

女の子ならきっとだれでも覚えがある、“自分に都合の良い妄想が止まらない!”的エピソードがリアルに綴られていて、読んだときに、変な話ですが私は少し安心してしまいました。

こんなおかしな妄想をする(したことがある)のは自分だけだろうと思っていたので、、、

マッカラーズ自身は、人間の孤独というものをとても冷静に見つめていた作家らしく、恋愛について、小説『哀しい酒場の唄』の中でこんな名言を残しています。

「愛は二人の間の協同経験ですが、だからといって二人にとって似たような経験になるとは限らない」。

恋愛関係になると、それだけで何もかもわかりあえるように思ってしまいがちですが、二人の経験はそれぞれ異質なものなので、過度な期待はしないように、と注意を促しています。

人間のかかえる本質的な孤独とも言うべきものを深いレベルでとらえ、追究した、唯一無二の作者らしい言葉です。

「ライ麦畑でつかまえて」サリンジャー(あらすじ)本当に怖いの!?
今回は、多くの人に読まれるサリンジャーの小説『ライ麦畑でつかまえて』について、あらすじと見どころをご紹介したいと思います。 1951年に出版された本ですが、今も世界各地にファンの多い小説です。読めば読むほど怖い小説だなと思います。だからこそ引き込まれるのかもしれません。世界中で読み継がれている青春小説をご紹介します。
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