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ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」~あらすじ~ダロウェイの1日を描く!?

1925年に出版された長編小説、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」
ダロウェイという女性の1日を「意識の流れ」の手法で描いたモダニズム文学の代表作です。

1997年に映画化され、ヴァネッサ・レッドグレイヴがダロウェイ夫人を演じています。

ヴァージニア・ウルフ( Virginia Woolf )の長編小説『ダロウェイ夫人』 (Mrs. Dalloway)について、あらすじと見どころをご紹介したいと思います。

 

ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」について

著者はイギリスの作家で、登場人物の微妙な心のひだを描き出す、現代では「キャラクター小説」とよばれるジャンルを確立した人物です。

晩年は精神疾患に悩まされながらも、最後まで精力的に作家活動を続けました。
ではさっそく内容を見て行きましょう。

 

ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」あらすじ

ウエストミンスターに住むダロウェイ夫人は、下院議員の妻であり、現在51歳です。今夜のパーティーのために、ボンド街に花を買いに来ています。

よく晴れた6月の朝、午前10時。心地よい空気にさらされながら、夫人は、おのずと、青年時代のことを思い出していました。

それは、海辺での一夏の思い出であり、現在の夫リチャードとの出会いの記憶です。ですがそれは同時に、ピーター・ウォルシュとの別れの記憶でもありました。

 

若かった彼女は、ピーターの神経質なところや感受性の強い性格についていけず、そのときたまたま出会ったおおらかなリチャードと交際し、結婚を決めたのでした。

あれから何十年も経っているというのに、ピーターの思い出は今もダロウェイ夫人のなかでくすぶっているのです。

彼女はいまだに、ピーターと結婚しなかったことは正しかったのだろうかと自問し続けています。

物語は、夫人と夫、そして娘のエリザベスとその家庭教師という4人の心の流れに沿う形で展開して行き、真夜中、パーティーが終わりに近づいたところで幕を閉じます。

 

おもな話の筋は以上ですが、これと並行して、物語の副筋として、30歳のセプティマス・ウォレン・スミスのエピソードが挿入され、ダロウェイ夫人の物語とほぼ同時に進行して行きます。

スミスは、第一次大戦の後遺症により、弾丸衝撃神経症をわずらっている男で、ダロウェイ夫人との直接的なつながりはないのですが、彼の生活が並行して描かれることで、物語全体がより哀しみを増し、読者の感情移入を誘う効果になっています。

スミスのストーリーで描かれるのは、病気から来る彼の妄想や、スミス自身の死、そして、その可憐な妻の生活などです。

ずっと関わりのなかった二人の人生は、最後、彼を診察した精神科医がダロウェイ家のパーティーに現れ、まるで世間話のように、スミスの突然の自殺を夫人に伝えるところで初めて交錯します。

 

夫人は、このときまで、過去の中途半端に終わった恋を悔やみ、退屈な夫のもとで、死んだように生きていました。

けれども、同じロンドンという街に住み、同じように自分にしかわからない傷を抱えたまま死んで行ったスミスという男の話を聞いて、強く共感するとともに、得体の知れない孤独感からも解放されます。

そうして、同時に、心のどこかにあった自殺願望もいつの間にか消え失せていたのでした。

 

ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」見どころ&感想

この作品の見どころは、華やかな生活を営む夫人が、実はとても内省的で繊細な心を持っている、というそのギャップです。

主人公のダロウェイ夫人は、物語の最初、“ブロンドで華奢な身体つきの、小さい顔をした、才色兼備な女性”として登場します。

 

お金も美貌も知識もあって、何も悩みなど無いように見える彼女ですが、その内面は、感受性豊かで、人生の何気ない一コマをこよなく愛し、日常のちょっとしたことに深く感じ入るような、繊細な女性です。

彼女は人生をこう表現します。「たとえ一日でも、生きることは非常に、非常に危険であるという感じ」。

 

大きな事件を次々に起こして話を展開させるのではなく、人物の心の葛藤とそこからの解放の過程を丁寧に追って描くことで一つのストーリーにまとめあげるという、のちに「キャラクター小説」と呼ばれるこの手法は、当時、大衆からも評論家からも大変高く評価されました。

間に差し挟まれるスミスのエピソードも、意味が無いようでいて、実はとても重要な役割を担っています。

 

というのも、著者自身が序文で語っているように、スミスはダロウェイ夫人の分身であり、彼女が受けるはずだった傷を、自殺という形で代わりに担ってやるキャラクターとして登場させられます。

最初の執筆計画では、スミスは登場せず、ラストはダロウェイ夫人が自殺することになっていたそうです(序文より)。

 

どうして当初の計画を変更して夫人が死なないラストにしたのか、この点について、ウルフは多くを語りません。

いち読者として思うのは、主人公が苦難を乗り越え解放されたことを、主人公と一緒に喜べることが何よりの幸せだということです。もちろん、そのために犠牲になるキャラクターはすごくかわいそうなのですが、、、

自殺しかねないほどに追いつめられた人が、それを切り抜けて再び生きる意欲を取り戻すためには、それくらい大きな喪失がどうしても必要なのだと思います。

 

作者ヴァージニア・ウルフについて

ヴァージニア・ウルフは、イギリスの作家です。1882年にロンドンで生まれました。
父親は、文芸評論家・哲学者のレズリー・スティーヴンです。

もともと小説家になろうと決めていたわけではなく、最初の文筆活動は、「ガーディアン誌」に載せた書評でした。

その3年後、本格的に小説を書き始めます。

 

1915年に処女作の『船出』を出版して以来、長編、短編、随筆、評論など、ジャンルを問わず非常にたくさんの作品を世に送り出しました。

代表的な作品は、『夜と昼』、『ジェイコブの部屋』、『灯台へ』、『波』、『歴年』、『幕間』等です。

 

順調に作家活動を続ける一方で、精神疾患に長く悩まされていました。

1895年、母親の死後に発病したのが最初で、その後いったん回復の兆しを見せますが、父親の死がきっかけとなり再び発病します。

1941年の3月にウーズ川に身を投げて自殺するまで、病はつねにウルフの作家生活とともにありました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』について、あらすじとみどころをご紹介してきました。

もし『ダロウェイ夫人』が気に入ったら、同じ作者の『灯台へ』も読んでみられることをおすすめします。

『灯台へ』に出てくるラムジー夫人の独白と自問自答は、ダロウェイ夫人ファンなら、きっとおもしろく読めると思います。

ご関心に応じてぜひどうぞ。

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