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キャサリン・マンスフィールド「園遊会」~あらすじ~人間心理を追求する代表作!

キャサリン・マンスフィールドは、19世紀、ニュージーランド生まれの女流作家で、若くして病気で亡くなるまでに多くの短編を残しました。

「園遊会」の他「人形の家」など人間心理を追求する繊細な作品が残されています。

キャサリン・マンスフィールド( Kathaleen Mansfield )の短編「園遊会」(The Garden Party)について、あらすじと見どころをご紹介したいと思います。

 

キャサリン・マンスフィールド「園遊会」について

「園遊会」は、キャサリン・マンスフィールドの作品の中でも最高傑作の呼び声が高く、女の子のこまやかな心理描写に定評のある作者の本領が存分に発揮された、みずみずしさとせつなさがいっぱいにつまった物語です。

では、さっそく見て行きましょう。

 

キャサリン・マンスフィールド「園遊会」あらすじ

金色のもやがかかった初夏のある日、シェリダン夫人のお屋敷では、恒例の園遊会(庭でのホームパーティー)の準備が行われており、午前中からバタバタと人が出入りしていました。

明け方から庭師が入って庭をととのえたり、テント張りの人夫や、ピンクの大量の百合の鉢を抱えた花屋といった、多くの業者に指示を出しているのは、この家の末娘のローラです。

 

今年は、母親から、パーティーのすべてを取り仕切るように言われ、ローラは俄然やる気になっていました。

大人の業者たちにテキパキと指示を出します。

そこへ、ケーキ屋の職人がケーキを届けにやって来て、隣家の主人である車夫のスコットが、トレーラーを避けようとして馬から投げ出されて死亡したことをローラに告げます。

 

妻と四人の幼い子供を残して亡くなったスコットの話を聞いて、ローラは大変なショックを受けます。

通りを隔てたお隣さんなので、園遊会の声は聞こえてしまうはず。

大変な状況にある彼らの前で、園遊会などするべきではない、と考えたローラは、姉のベリルや母親のシェリダンに相談しますが、まともに取り合ってもらえません。

 

“お隣の貧しい家の人たちがかわいそうな目に合っているからと言って、わたしたちが園遊会を中止することに何か意味があるのか?”というのが、かれらの言い分です。

ローラは、胸にもやもやしたものを抱えつつも、言い返すことができません。

シェリダンは、ともかくローラをなだめ落ち着かせるため、自室のクローゼットから、黒い、ビロードのリボンと花飾りのついた帽子を取り出してローラにかぶせてやります。

 

気落ちして、帽子を無造作にかぶったまま母親の部屋を出て行こうとしたローラが見たものは、鏡に映った自分の姿でした。

鏡の中の、すてきな帽子をかぶった可憐な女の子を見つめているうちに、ローラは、なんだか、やっぱり母親の言うことが正しいような気持ちがしてくるのでした。

園遊会は、結局、予定通りに行われました。

来客が続々と現れ、みな、口々に、ローラの帽子をすてきだ、かわいい、とほめちぎります。会は、大盛況のうちに終わりました。

 

後片付けをしていると、シェリダンがローラに、“残ったサンドイッチやお菓子をスコットさんの家に届けてあげてはいかが”と提案をします。

スコット家のことを気にしていたローラに対する、シェリダンなりの気遣いでした。

『残り物を喜ぶかしら?』とローラは思いましたが、母親に言われた通り、持って行くことにします。

 

スコット家を訪ねると、家の人はローラを温かく迎え入れてくれ、奥へ通してくれました。ローラはそこで、死者の安らかな寝顔を見ます。

ふいに、ローラは、小さい子供のように大声をあげて泣き出しました。

すっかり泣いて、我に返ると、「こんな帽子でごめんなさい」と、格好の非礼をわびて、スコットの家を後にします。

 

帰る道すがら、『あの人の死はすばらしかった』とローラは思います。

途中まで、兄のローリィが迎えに来ていました。ローリィの顔を見て、ローラは思わず尋ねます。「ねえ、人生って一体何?」。

 

キャサリン・マンスフィールド「園遊会」見どころ&感想

この短編では、裕福な家庭で何不自由なく育った少女が、死に厳(おごそ)かなものを感じ始めると同時に、お金持ちの慣例やしきたりといったものに疑問を呈するようになる時期の、微妙な心の動きが丁寧に描かれています。

疑問を呈すると言っても、それは本当にまだわずかなもので、正義感に燃えて大人に反抗するまでには至っていません。

 

それどころか、隣家の人の境遇に同情しつつも、おいしそうなケーキを見ればうっとりとしてしまうし、帽子をかぶった自分の姿を鏡で見て素敵だと思った瞬間に、母親の言っていることが正しいような気がしてくる、という、何とも言えない微妙な乙女心ものぞかせる、無垢な少女です。

無垢な少女と大人の間を行ったり来たりするローラの目を通して見ることで、読者の目には、傲慢な大人や、階級への偏見に対する疑問が、普通に大人が考えるよりも差し迫った問題としてあらわれてきます。

このあたりの物語構成の上手さは、彼女が敬愛するチェーホフから受け継いだものでしょう。

 

作者 キャサリン・マンスフィールドについて

マンスフィールドの本名は、キャサリン・マンスフィールド・ヒンチャム(Kathaleen Mansfield Beauchamp)といいます。

1888年に、ニュージーランドで生まれました。

音楽の勉強をするためにロンドンのクイーンズカレッジに入学しますが、音楽で身を立てるには至らず、卒業後はいったん故郷に帰ります。

 

その後、文学界での成功を夢見て再びイギリスへ渡り、無謀な結婚も経験し、ロンドン時代はかなり自由奔放な生活ぶりであったと伝えられています。

「園遊会」は、著者の少女時代の思い出が元となっているのですが、読むとわかる通り、マンスフィールドは、子供時代、厳格な家庭で、きびしくしつけられて育ちました。

ロンドン時代の放蕩生活は、その反動であるとも言われています。

 

けれども、のちに、批評家のジョン・ミドルマン・マリという理解者を得て、彼と幸せな再婚をします。

命を削るようにして精力的に執筆活動をしていた彼女ですが、1923年、フォンテーヌブローの療養所で、肺結核のため、34歳で亡くなりました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。マンスフィールドの短編「園遊会」について、あらすじとみどころをご紹介してきました。

少女の心の揺れ動きを描いた傑作としては、ほかに、「人形の家」もおすすめです。

10歳前後の3人姉妹とその学校友達との人間関係が、おもちゃの人形の家を軸にたくみに描き出されています。

この年頃ならではの、姉妹間、友人間における独特の緊張関係がとてもリアルで、個人的には「園遊会」よりも、こちらの作品の方が共感できて、好きな作品です。

ご関心に応じてぜひどうぞ。

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