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「変身」カフカ(あらすじ)主人公は本当に毒虫に変身?斬新な出だし~

1912年に執筆された、フランツ・カフカの中編小説「変身」。

主人公がある日目覚めると、いきなり虫に変身していたという斬新な出だしで物語は始まります。

プラハ生まれのユダヤ人作家である、フランツ・カフカ( Franz Kafka )の小説『変身』( Die Verwandlung )について、あらすじと見どころをご紹介したいと思います。

 

カフカ「変身」について

短い作品で、複雑な文法や難しい単語が使われていなく、読みやすい。

このような理由で、大学などのドイツ語教材としても使用されることの多いテクストです。では、さっそく見て行きましょう。

 

カフカ「変身」 あらすじ

ある朝、グレゴール・ザムザがベッドの上で目を覚ますと、身体が巨大な虫になっていました。

グレゴールは、普段は普通のセールスマンをしています。商科大学を出て、軍隊生活を経験したのち、会社に就職しました。

父親が五年前に破産してからは、父母と17歳のを養う、一家の大黒柱です。

 

いつもならとっくに家を出て汽車に乗っていなければいけない時間なのに、ベッドから身体を起こそうにも、たくさんの脚がばらばらに動くだけで、まったく自由がききません。

午前7時過ぎ、出社して来ないグレゴールを心配して、勤務先の支配人が家にやって来ました。

支配人は、鍵のかかったグレゴールの部屋のドア越しに話しかけます。

なぜ無断欠勤するのかを問いただす上司に、グレゴールはドアの内側から弁明を始めます。すると、上司は、「獣の声だ」と言って青ざめ、一目散に逃げて行ってしまいます。

 

グレゴールは、何とか身を起こすと、重たい身体を引きずり、部屋から出て居間にひょこっと顔を出します。

しかし、父親に、ステッキで追い立てられ、再び部屋に戻されます。

グレゴールの変貌とともに、ザムザ家にも変化が現れました。まず、長くザムザ家に仕えていた女中が、ひまがほしいと申し出て、家を出て行きます。

収入面でグレゴールに頼りきりだった家族は、唯一の働き手を失ったため、それぞれ、稼ぐ道を考えるようになります。

 

父は銀行に勤めに出て、母は針子さんに、妹も売り子になりましたが、妹は、もっと良い仕事に就くために、夜に速記術とフランス語の勉強も始めます。

さらに、少しでも家計の足しにしようと、ひと部屋に三人の下宿人を置くことにしたため、グレゴールの部屋は物置同然になります。

ある日、父の投げたりんごで重傷を負ったグレゴールは、日に日に衰弱し、3月の末に、亡骸を、手伝いの女性に発見されます。

グレゴールが死んだことが分かると、父親は、「さて、これで神様に感謝できるというものだ」と言い、母、妹と一緒に、親子三人で電車に乗って、郊外へ散歩に出かけて行くのでした。

 

カフカ「変身」 見どころ&感想

人間がある日突然、“人間大の”虫になり、しかもその理由が最後まで明かされない。

伏線の回収もオチも無い、まるで、寝ているときに見た怖い夢をそのまま描き出したような、ふしぎな物語です。

物語の主人公、グレゴールは、どこにでもいる、少し気の弱い、普通の会社員の青年です。

自分の身体が虫になってしまったと分かった時の反応も、ひたすら恐がり、とまどうばかり、という普通の言い換えればリアルな反応です。

 

キャラクターとして際立っているのは、虫になったグレゴール本人よりも、周りの人間であり、そのなかでも特に、グレゴールの父親の描写が大変印象的です。

虫になった息子を心配するどころか、ステッキで小突いたり、りんごを投げつけて弱らせたりと、いくら虫でも息子に対してここまでするだろうかと思うほど、激しい描かれ方をしています。

作者のカフカ自身も、父親とはうまくいっていなかったようで、『変身』の主人公と父親の関係は、実際のカフカと父親の関係を写したものであると言う専門家もいます。

 

たとえば、作中で「虫」を表す言葉としてドイツ語の Ungerziefer という単語が使われていますが、この言葉には「寄生虫」という意味合いもあります。

カフカは、文筆業で独り立ちできるようになるまで、父親に生活費の援助を受けていたという背景があるため、カフカ自身が、自分の分身のような存在である小説の主人公に、自虐を込めてこの名を与えたとも考えられるのです。

カフカはそんな自分のことを、自叙伝『父への手紙』の中でこう述べています。

「尻尾を足で踏んづけられて、上体で身をもぎはなしながら、脇へ這いずって行く虫けらを思わせるところが自分にはありました」。

 

このような、自分を厳しく断罪する、自己批判の芸風は、彼の小説作品の持ち味ともなっています。

主人公が虫けらとして疎まれ、最終的に見捨てられ死んでしまう『変身』もそうです。他に、『死刑判決』という作品でも、結婚をめぐって父と子が対立し、あげく父から“溺死の刑”を言い渡された息子が、本当に自殺してしまう話などがあります。

カフカの自己否定の作風は、もちろん、作家としての自分自身にも向けられました。

カフカは、死んだら自分の作品はすべて燃やしてほしいと身内に頼んでいました。

 

自分の死とともに、「作家・カフカ」を完全にこの世から消し去ろうとしたのですが、彼の作品を愛する多くの読者、出版社の人間がいたために、カフカの願いは叶いませんでした。

死後、未発表の作品が勝手に出版されてしまったという皮肉な経緯があります。

 

「変身」作者フランツ・カフカについて

最後に、作者の経歴を簡単にご紹介します。

カフカは、1883年、チェコのプラハで、ユダヤ商人の息子として生まれました。

プラハ大学で法学を学び、25歳のときに、ボヘミヤ王国労働者傷害保険局の職員となります。

1917年34歳のときに肺結核をわずらい、1924年、ウィーン郊外のサナトリウムで、41歳の誕生日の1ヶ月前に生涯を閉じます。

 

カフカの小説はすべてドイツ語で書かれていますが、カフカ自身はドイツ人ではなく、“ドイツ語を使うユダヤ人”でした。

当時のプラハの人口の中で、チェコ語ではなくドイツ語を使う人たちは少数でした。

しばしば、カフカが、小説家にしては語彙(ごい)が乏しいと評されたり、文法の誤りの多さや文体の固さ(物語というより調書のようなスタイル)を指摘されたりしていました。

それは、そのような幼い頃の言語環境の悪さに一つの原因があると考えられます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。カフカの中編小説『変身』について、ご紹介してきました。

カフカの小説は、“夢”に似ています。それも、子供の頃に見た怖い夢。

つじつまがあっていないし、起こる出来事に明確な理由やオチが用意されているわけでもない、そして最後はブチッと途切れるように終わる、まさに“夢”です。

しっかりしたオチがない物語は読みたくない、苦手という人も最近は多いようです。

しかし、夢のようなふしぎな説得力と迫力をもってせまってくるカフカ文学は、小説好きなら一度は触れてみる価値のある作品です。

ご関心に応じてぜひどうぞ。

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